「配管交換はそろそろ必要?」
「水漏れが起きていないなら大丈夫?」
「費用や手間を考えると、今すぐ動くべきか迷う…」
古いマンションに住んでいると、このように配管交換の判断に悩む方は多いのではないでしょうか。
配管は普段目に見えないため、劣化に気づきにくく、対応を先延ばしにしてしまいがちです。
しかし、いざトラブルが起きると修理費用や上下階への被害など、想像以上に大きな問題へ発展する恐れがあります。
築年数だけを基準にせず、配管の状態を見極めながら計画的にメンテナンスや交換を進めることが大切です。
本記事では、古いマンションの配管交換を検討する際に押さえておきたいポイントを幅広く解説します。
- 配管交換を検討すべきタイミング
- 配管の種類ごとの耐用年数
- 費用相場と負担の考え方
- 工事にかかる期間の目安
- 工事前に押さえておきたい注意点
後悔しないための判断材料として、ぜひ参考にしてください。
古い配管を使い続けると生じるリスク
古くなった配管の交換を後回しにしていると、水漏れや詰まりなどのトラブルを引き起こしやすくなります。
劣化した配管はサビや汚れが蓄積し、破損や漏水事故につながる恐れがあります。被害が下階に及べば補償問題に発展することもあり、赤水や異臭など生活への影響も無視できません。
大きなトラブルを防ぐためにも、早めに配管の状態を確認し、必要に応じて交換を検討しましょう。
マンションにおける配管更新のタイミング
配管交換の時期は築25〜40年が一つの目安ですが、築年数だけで判断せず、実際の配管状態を確認することが重要です。
交換の可否は水漏れの有無や、配管材の種類、これまでのメンテナンス状況を踏まえて総合的に判断しましょう。
配管交換を検討すべきサイン7つ
配管の劣化が進んでいると、次のような兆候が現れることがあります。いずれか一つでも該当する場合は、配管の状態を見直すタイミングといえるでしょう。
水漏れなどの目に見える異常が現れている場合、配管内部では腐食や劣化が進んでいる可能性も高いです。「まだ使えるから大丈夫」と判断してしまいがちですが、気づかないうちに状態が悪化しているケースもあります。
早い段階で点検や対応を検討することで、深刻なトラブルを未然に防ぎましょう。
配管の状態を目視で確かめる
すべての配管を直接確認することは難しいものの、洗面台下やキッチン下など、見える部分だけでも点検してみましょう。
床や収納内部が常に湿っぽい、カビ臭がする場合は、目に見えない部分でわずかな漏水が起きている可能性もあります。
一見すると大きな異常がないように見えても、劣化は少しずつ進行していくため、小さな変化を見逃さないことが重要です。
長期修繕計画や修繕履歴をチェックする
マンションには、将来の維持管理を見据えて作成された長期修繕計画があり、これまでに実施された修繕内容や時期が記録されています。
共有部分の工事履歴については、次の点に注目して確認してみましょう。
すでに更新済みであれば、直近で大きな工事が必要になる可能性は低いかもしれません。
一方で専有部分の配管については、長期修繕計画の対象外となっているケースも多くあります。どこまでが管理組合の想定範囲なのかを把握しておくことも重要です。
修繕履歴や計画内容を確認することで、今後数年以内に大規模修繕が予定されているのか、個別に対応すべきなのかといった見通しが立てやすくなります。
判断に迷う場合は、管理会社や管理組合に問い合わせて具体的な内容を確認すると安心でしょう。
業者に依頼して診断してもらう
配管工事を専門とする業者や給排水設備業者に調査を依頼するのも有効な方法です。
調査では、内視鏡カメラを配管内部に入れてサビや腐食の状況、詰まりの原因などを確認する方法が一般的です。目に見えない内部の状態を把握できるため、全面交換が必要なのか、部分補修や更生工法で対応できるのかを判断しやすくなります。
費用の目安としては、簡易的な点検であれば数千〜1万円、内視鏡カメラを使用した調査になると1〜3万円程度かかるケースが多いです。ただし、調査範囲や配管の本数、地域によって金額は異なるため、事前に内容と費用を確認しておくことが大切です。
定期的な点検とメンテナンスを繰り返すことで、トラブルを未然に防ぎ、設備配管の耐久年数を最大限に活かすことができます。
配管の種類・寿命の目安

マンションの配管は戸建住宅と同様に、用途ごとに使われる素材が異なります。給水管・給湯管・排水管それぞれに適した材質が採用されており、耐用年数の目安にも差があります。
代表的な配管の種類と特徴は次のとおりです。
鉄管(亜鉛メッキ鋼管)
使用時期:1950年代〜1970年代頃
耐用年数:20〜30年
配管の種類:給水管・給湯管
特徴:
サビやすく、赤水が出やすい
経年劣化で閉塞や漏水が起こりやすい
古いマンションで多く見られる
銅管
使用時期:1970年代〜1990年代頃
耐用年数:20〜30年
配管の種類:給水管・給湯管
特徴:
鉄管よりサビに強い
水質によっては孔食(ピンホール)が起きやすい
築30〜50年のマンションで多い
鋳鉄管
使用時期:1950年代〜1980年代頃
耐用年数:30〜40年
配管の種類:排水管
特徴:
重くて丈夫、遮音性が高い
内面腐食や継手劣化が起きやすい
古いマンションの排水管で多用
ステンレス鋼管
使用時期:1990年代以降〜現在
耐用年数:40年以上
配管の種類:給水管・給湯管
特徴:
サビに非常に強い
耐久性が高く長寿命
比較的新しいマンションで採用
塩ビ管(硬質ポリ塩化ビニル管)
使用時期:1960年代以降〜現在
耐用年数:20〜30年
配管の種類:排水管
特徴:
軽量で施工しやすい
サビないが、衝撃や熱に弱い
現在も多く使われている
樹脂管(架橋ポリエチレン管など)
使用時期:1990年代以降
耐用年数:30〜40年以上
配管の種類:給水管・給湯管
特徴:
腐食しにくく、柔軟性が高い
地震に強い
近年のマンションで主流
ポリエチレン管
使用時期:1990年代以降
耐用年数:30〜40年以上
配管の種類:給水管(屋外・引込部にも多い)
特徴:
耐食性・耐震性に優れる
継ぎ目が少なく漏水リスクが低い
新築・改修ともに採用が増加
使用状況や水質、施工状態によって劣化の進み方は大きく変わります。寿命年数はあくまで目安と考え、実際の状態を確認することが重要です。
マンションにおける配管の位置別・交換工事の進め方
配管は設置されている場所によって、交換工事の方法や難易度が異なります。
専有部分の室内配管であれば、比較的自由に工事ができますが、床や壁の開口が必要な場合もあります。一方、共用部分に関わる縦管や横引き管は、管理組合の承認が必要で、工事日程や方法も制限されることが多いです。
1.配管が露出している箇所のみの交換
洗面台下・キッチン下などの配管が見えている場所であれば、比較的短い時間で交換が可能です。
劣化している部分のみを交換する場合、1箇所30分〜1時間ほどで完了するでしょう。
実際に、水漏れやサビが確認できた部分だけをピンポイントで交換するケースは、多くの住戸で見られる事例です。
2.壁や床の内部に隠れている配管の交換
配管が壁や床の内部に設置されている場合は、壁や床を一部開口して工事を行う必要があるため、その分工期や費用がかかります。
工事業者は、断水を行ったうえで古い配管を撤去し、新しい配管へ入れ替えた後、漏水がないかを確認します。その後、内装業者が入り、開口した壁や床を元の状態に戻すクロスやフローリングの復旧工事を行って完了です。
このように、配管交換を伴う工事では工程ごとに担当業者が分かれるため、複数日に分けて作業が行われるのが一般的です。
3.点検口(パイプスペース)内の配管交換
点検口内にある縦管や横引き管は、複数の住戸でつながっている配管のため、原則として管理組合の管理対象です。
工事前にはまず、管理組合による配管の劣化調査と工事内容の検討が行われ、理事会や総会で予算と計画が承認されます。その後、施工業者を選定し、工事日程や断水時間、系統別の断水・排水について居住者へ事前に通知されます。
マンション全体、または同一系統の住戸をまとめて工事が行われることが多いため、工期は数週間から数か月に及ぶことも少なくありません。
4.部分交換・更生工法という選択肢
配管交換というと全面的な入れ替えを想像しがちですが、状況によっては必ずしもすべてを新しくする必要はありません。選択肢としては、次のような方法が存在します。
- 劣化した箇所のみを新しくする部分交換
不具合が生じている接続部分のパッキンや継手の交換、蛇口・止水栓・排水トラップ等の設備機器に近い配管の交換など - 既存配管の内側を補修する更生工法
配管内に保護膜を施す内面塗装、管内に新たな管を形成して強度を高めるライニング工法など
このような対策を施すことで、腐食やサビの進行を抑え、配管の使用期間を数年から10年ほど延ばせるケースもあります。
数年以内にマンション全体の大規模修繕が控えているならば、一時的な対応を選ぶほうが合理的な場合もあるでしょう。
なお、これらの工法が適用できるかどうかは配管の劣化状況によって異なります。事前に専門業者による調査・判断を受けることが重要です。
費用の負担者は配管の場所で決まる
配管工事にかかる費用は、専有部分であれば所有者、共用部分であれば管理組合が負担するのが一般的です。
専有部分とは各住戸の内部のことであり、共用部分とは、建物全体や複数の住戸で共通して使われるスペースのことを指します。
なお、縦管や床下を通る配管などは共用部分として扱われるケースがあり、その判断はマンションの構造や管理規約によって異なります。共用部分に該当する場合は、管理組合が管理費や修繕積立金を使って対応し、大規模修繕工事の一環として実施されるのが主流です。
また、水漏れなどのトラブルが発生した際は、原因が専有部分なら所有者、共用部分なら管理組合が責任を持つことが多いです。
後からトラブルにならないよう、配管交換を検討する段階で管理規約を確認しておくことが重要になります。
マンションにおける配管交換の費用相場
マンションの配管交換では、専有部分と共用部分のどちらを工事するかによって費用が大きく異なります。
専有部分とは、各住戸のキッチンや浴室、トイレなど、居住者が単独で使用する範囲の配管を指します。一方、共用部分は、他住戸と連結している縦管や横引き管、床スラブ下を通る配管など、複数の住戸に関係する設備が該当します。
専有部分の工事費用は50〜100万円程度
専有部分の配管交換にかかる費用は、工事の内容や対象範囲によって幅がありますが、50〜100万円程度が相場です。
配管が露出していて壁や床を解体する必要がない場合であれば、30万円前後で対応できるケースもあります。蛇口や排水管の一部といった部分交換であれば、10万円前後で済むことも少なくありません。
ただし多くの場合、キッチンや浴室のリフォームとあわせて配管交換を行うケースが一般的です。そのため、工事内容が広がる分、費用が増えることが予想されます。
共用部分が絡む場合の費用は数百万円以上
共用部分に関わる配管工事は、縦管や横引き管などマンション全体に影響するため、工事が大規模になりやすい傾向があります。したがって、工事費用も高額になり、1棟全体で数百〜数千万円規模になるケースも珍しくありません。
共有部分の費用は、原則として管理組合が負担し、修繕積立金から支出されることが多くなっています。ただし、積立金が十分に確保されていない場合には、一時金の徴収や管理費の値上げといった追加負担が発生する可能性もあります。
また、工事内容や時期は総会での承認が必要なため、実施までに時間がかかる点も押さえておきたいポイントです。
配管交換工事にかかる期間
キッチン下や洗面台まわりなどの配管を部分的に交換する場合であれば、1〜3日程度で完了するケースが一般的です。配管が露出している場合は、半日程度で終わることもあります。
一方、壁や床を開口して行う全面交換や、共用部分の縦管・横引き管を含む工事では、1戸あたり数日〜1週間以上かかることもあります。この間、工事の工程によっては断水や給湯停止が発生し、使用できない時間帯がある点にも注意が必要です。
工事期間に加え、断水の有無や時間帯、在宅が必要かどうかなど、生活への影響を事前に確認しておくことが大切になります。
配管交換前に知っておきたい注意点4つ
思わぬトラブルを防ぐためにも、配管工事の前には管理規約や管理組合への確認、上下階への了承が欠かせません。
また、築年数の古いマンションでは構造上、工事が制限されるケースも多くあります。十分に把握しないまま工事を進めると、漏水事故や費用の想定超過を招く可能性があるため、事前確認を怠らないようにしましょう。
1.マンション規約で工事制限がないか確認
築年数が古いマンションや高層マンション、共用設備が複雑な物件では、配管工事の工法や作業時間に制限があるケースがあります。
ほとんどのマンションでは、管理規約や使用細則などに工事のルールが記載されているため、まずは事前に目を通しておきましょう。
なお、「騒音に配慮すること」など曖昧な表現になっていたり、特殊な工事に関しては規約に明記されていなかったりする場合もあります。
実際の工事にあたっては管理組合や管理会社に問い合わせ、具体的な条件を確認するのが確実でしょう。
2.配管工事前に管理組合へ相談
マンションによっては、たとえ住戸内の専有部分で行う配管工事であっても、管理組合への届出や承認が必要な場合があります。
無断で工事を進めると、工事の停止を求められたり、火災保険や水災保険が適用されなかったりするケースもあります。また、共用部分に被害が及んだ場合は、追加費用や修繕責任を求められる可能性もあるため注意が必要です。
専有部分の工事であっても、念のため事前に管理組合や管理会社に相談し、承認を得てから進めましょう。
3.隣接住戸トラブルを防ぐための配慮
工事中の騒音や振動、万が一の漏水など、上下階や隣戸への影響を考慮することも重要です。
工事内容や期間、作業時間帯について近隣住戸へ事前に説明し、挨拶をしておくことが望ましいでしょう。情報を共有しておくことで、生活への影響に対する理解を得やすくなり、苦情や誤解を防ぐことにつながります。
また、管理組合や管理会社を通じて案内を行うことで、より円滑に調整できるケースもあります。工事そのものだけでなく、周囲への配慮も含めて計画することが、トラブルのない配管交換工事のポイントです。
4.直床マンションは費用増に注意
直床構造のマンションでは、床を大きく解体する必要があり、工事費用が高くなりやすい傾向があります。配管をすべて入れ替える工事では、100万円以上に及ぶことも珍しくありません。
床下に空間がない構造であるため、給排水管や電気配線の施工が制限され、作業が複雑になります。
構造の違いによる費用差を理解し、見積もりをしっかり比較検討することが大切です。
最後に
古いマンションの配管交換は、築年数だけで一概に判断できるものではありません。配管の状態や修繕履歴、マンションの規約などを総合的に確認し、自分の住まいに合った判断をすることが大切です。
トラブルが起きてから慌てるのではなく、事前に情報を集め、必要に応じて専門家に相談することで、安心して長く住み続けることができます。今回の内容が、配管交換を検討する際の参考になれば幸いです。

コメント